紅烏の拡張版twitterのようなもの

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体操全日本選手権で感じた男子体操団体への不安

内村が前人未到の10連覇を達成した男子体操の全日本選手権個人総合。個人的には今後の男子体操の、特に内村が常に意識してきた団体戦へ不安が残る大会になったように感じた。

 

 今回の内村はリオ五輪以降ケガの為大会に出場しておらず久しぶり大会出場となった。予選ではいきなり平行棒でミスするなどつまらないミスが多いなぁと感じていた。

ちなみにルール変更で組み合わせ加点が変わったりしてるけど、大きく変わったところだと、簡単に言うと今年からミスした時の減点が厳しくなった。全体的に去年と比べると得点は少なくなる。

 

そして本戦。平行棒でライヘルトが低かったり鉄棒の離れ技が掴む位置が近かったりと随所に本調子じゃない部分は見せつつも僅差で田中を交わして10連覇を達成。本調子ではない中でもしっかりまとめ切る力、安定感のある着地は健在で強さを感じることが出来る試技だったと感じた。

 

その一方でタイトルにあるように団体戦を戦う上で不安を感じた部分もある大会にもなったと思った。

 

その理由としては日本人選手の鉄棒のレベルが下がっているということ。

 

上述の通りのルール変更でEスコアが厳しくなったことで平均で各競技0.5前後は今までより下がると見られている。分かりやすく言うと今まで15点取れていた試技が14.5点前後の得点になるイメージ(ホントはもっと細かいのだけれど)

 

そこを踏まえて今日の個人総合で鉄棒が14.5を越えた選手を見てみると…2人だけである。予選まで見ても4人、そして予選、本戦ともに越えた選手は田中佑典ただ1人。

 

2020年の東京五輪を考えると内村、田中が2人とも出れる保障は年齢的にも全くない。その中で団体金メダルを狙うとすれば最終種目、悪くても5種目目になるであろう鉄棒で内村、田中を脅かす選手がなかなか出てこないのは気が早いかもしれないが不安に思ってしまう。鉄棒が弱いとどうなるのかはリオ五輪のロシア代表との対決を思い出せば分かるところではないだろうか。

 

可能性が一番あるのはやはり白井健三か。優勝した内村と総合成績では-0.250の差。鉄棒の降り技で今日は封印したフェドルチェンコで降りれば0.1縮まり、それを完璧に決めていればEスコアも伸びた可能性があり内村に更に迫れる可能性があった。本人も床と跳馬スペシャリストからオールラウンダーになることを目標としているだけに頑張ってもらいたい。屈伸コバチのあの高さを見るとコールマンやカッシーナも3年あればマスター出来るようになるのではないか。自身はシドニーコバチやって吹っ飛んだ畠田コーチの腕の見せ所である。

 

次いで萱、千葉の順大2人。萱はリオ五輪あと少しで落選だったので期待値としてはかなり高い。萱には白井同様スペシャリストからオールラウンダーを目指してほしい。今日は鉄棒失敗してしまったけど…千葉も予選トップ&平行棒の落下がなければ表彰台が狙えただけに可能性を感じる。鉄棒強かった最強のオールラウンダー冨田コーチが2人の卒業までにどこまで強く出来るか。谷川含め順大3人とも似たような演技構成だったのも若干気になるところもあるけれど。

 

勿論ながらルール変更は今年からで、特に鉄棒はライバル中国の得意技シュタルダーから大逆手も変更の憂き目にあっているので世界的にもまだまだこれからの部分は大きい。でも優勝インタビューで内村が語っていたように今のレベルでは世界で勝つことは確かに難しいと思う。白井、萱世代は強くなっているがまだ世代交代とは言えない。そう言えるようになるのはいつなのか。少なくとも五輪予選前は済んでいてほしいと若い世代への期待を込めて思っているところである。